デザインマネジメント講座

デザインマネジメント講座 2

前章で今という時を写し出すのがデザインに課せられた使命であるという事を申し述べましたが、どのようにすれば今の時を写し出せるのか。

それはトレンドを理解しているかどうかという事になります。デザイントレンドという言葉を良く耳にされる事と思いますが単純にはデザインの流行りすたりという事ですよね。この流行の本質を理解するには、トレンドというものが形成される世の中の仕組みを理解する必要があります。カラートレンド、ファッショントレンド、ライフスタイルトレンド等トレンドを細分化した言葉でトレンドがよく論じられます。それらのトレンドってじゃぁどこから生まれてくるのか。

ファッションではモード系、ストリート系に大別できますが、モード系というのはまさにパリがそのトレンドを発信する舞台装置になっています。その仕組みはココ・シャネルが大活躍した1900年代20世紀初頭から今も面々とその仕組みは続いています。フランスはパリという場でパリコレクションという流行形成の舞台装置を作りオートクチュール、プレタポルテとファッション産業という世界制覇の産業形成に国を挙げて作り出してきました。新しいコレクションを発表する事によって半年前の洋服の姿を陳腐化させまた新しい代替需要を市場に形成させる。それによって産業を興すという仕組みです。そして様々なメディアがその流行の形成を促進しています。

インテリアでは毎年2回パリで開催されるmaison de objetという展示会が今もその役割を担っています。トレンドというものの多くはこのような産業構造によって生み出されていると理解してください。そして流行すなわち今の信号を知る為にはそれこそ流行という言葉のごとく流れを知る必要があります。流行にもその命の時間ライフサイクルは様々に存在します。サスティナビリティ・エコトレンドのような長い時間の流れの中の変化、それは潮流と呼ばれ英語ではカレントと言います。そして一時的に爆発して直ぐに消えうせるような流行をファッドと呼んだりします。

流行というものはその言葉のごとく、流れであります。

それを理解するという事は流れを知るという事であり、その為にはロジカルか感覚イメージでキャッチするかは別として常に追いかけてその状況の変化を観察し続けるという定点観測が必要になります。今という時点情報のパーツを集めて理解するのではなく、流れとして過去から現在の変化を見つめ、そしていつまでその流れは続くのか、その先に何が生まれでようとしているのかを予見する力がデザイナーには必要です。そしてその予見の力がクリエイティビティだという事になります。

流行はそれが広く知られた時点が旬であり、ライフサイクルの頂点でありますから、トレンドセッターにとってそれを追いかけてもつまらない事ですが、その流れを感じる、そして知るという事が予見力クリエイティビティを生む事につながる訳であります。

また、昨今良くプロモートされるアートやスタンダードはこのような流行とは無縁であるように思われがちですが決してトレンド・カレントと無縁ではありません。また追ってこのブログで解説していきます。

2017-10-06 ©Ichiro Haba
シンプルに美しく暮らす