デザインマネジメント講座

デザインマネジメント講座 71

「未来をデザインするコンセプト 19」

正しく見る・考える・行う

今世界経済は大変好調な様相を見せています。中国の経済成長は中国の中産階級の多くを生み出し、そのお陰で日本にもインバウンド消費をもたらしてくれています。

でもその裏側では2008年リーマンショックのダメージを回復させる為に世界中の国がお金の流通量を借金によって増やし景気を拡大化させている背景があります。

日本に置いてもそれは例外ではありません。金利をゼロにお金をばらまき加えて国民の貯蓄である年金も株式市場に投入し国の借金で経済成長の数字を押し上げています。そうして今、世界的な債務・借金の膨張が続いています。

借りたお金は当然いつかは返さないといけません、返すすべもない事が見えて来て返せないとなるとそれは財政破綻となる訳です。その膨大な借金をいつからどのように返していくのか世界中の指導者が右往左往しているのです。

例えば今日本が抱え続けている毎年100兆円もの借金、借金に借金を重ね市場にお金を回してでも何とか現在の景気を良くする経済成長を実現する事に政府は必死で取り組んでいます。膨らんだ借金の返済を進める為にも経済成長を実現し税収を上げて行かなければなりません。でも現実は少子高齢化、市場は収縮に向かっています。第4次産業革命、情報テクノロジーの進展によって生まれる新しい革新的なサービスが新しい市場を創出する。そうであってもその富はFAGA と呼ばれる一握りのスーパーカンパニーに集まるという様相がはっきり見えています。それぞれの国によって異なる税制を巧みに活用し節税策を賢く仕組み化し自分たちの中からなるだけお金が外へ出ていかないように賢く活動しています。

今の状況、大手の企業は増収増益の中にあっても実際のところ消費者にはモノの価格が値上がりし可処分所得は増えない故にその景況感の実感は乏しい状況です。市場経済それは市場があってこそなりたつ仕組みです。先進国で市場が収縮し開発途上国で人口が爆発するその地球現象を変える事など不可能です。政府が借金をしてお金をばらまく事をやめようと動いた瞬間から20年前の日本の総量規制によるバブル経済崩壊、リーマンショックの再来という事態になりかねない状況に今世界があります。財政破綻となればその先その借金を返さなくてはならない債務を抱える人は誰でしょうか?普通の人たちである私たち国民です。その借金は経済成長がゼロッサム、市場が収縮する中にあっては税金によって国民全体でその借金を穴埋めするしかないのです。その為に消費税が必要になります。なるだけ早い時期に借金財政から抜け出してその返済を進め財政健全化へ舵を切らなくてなりません。

そのような政治が行える大河ドラマの西郷さんのような気骨のある真のリーダーが日本にも世界にも必要です。大衆に迎合し、単純な心地の良い言葉でこっちの水は甘いよというような絵空事に振り回されてはいけない。米国トランプの大衆迎合ポピュリズム政権は減税を実施しています。減税したお金が消費に回るか?将来不安を抱える日本の生活者は貯蓄に回します。米国民は日本国民ほど石橋を叩いて渡る事もないので消費に回るボリュームも多くなるとは思いますが、その消費はスーパーカンパニーの富を増やす事につながる、その富の多くは税金として財政に還元されない、大きく捉えシンプルに眺めれば世界はそんな構図になっています。益々民が大変な眼に遭うリスクが拡大して来ているのです。

さぁこれからの世界をどのようにデザインすれば美しい地球を持続させる事が出来るのでしょうか。

私たちのような小さな存在であっても正しく見る、正しく考える、正しく行う行動を開始しなくてはなりません。

2018-09-11 ©Ichiro Haba
シンプルに美しく暮らす