失敗の商品開発

失敗の商品開発 その4

商品開発で避けては通れない必ず議論の遡上に上がるコストと利益と卸売価格、消費者価格、それら全ての値決めの問題。

その基本はお客様すなわち消費者の立場で喜んでお買い上げいただける最高の価格を求める、その見極めがうまく出来なければ、やはり製品が商品になり得ない。まさに値決めは経営なのである。

この事が常に私達の仕事のハードルとなって立ちはだかってくる。よくある原価積み上げ方式。

この原価に対し自分たちの利益を乗せて販売するとこの価格になる。その価格でなければ自分達に利は残らず商品化する価値はないという判断で値決めされたものはほとんど失敗する。

僕たちイデアは唱和を毎朝のミーティング前に行う。顧客第一・会社第二・個人第三で仕事をしますという約束事を唱和する。値決めもこの通りでなければならない。

自分たちの都合・利益を優先し値決めを行えば自分第一主義な値決めが生まれる。まさにそれは消費者の利益や貢献を無視する判断の中で価格が決められる。

まぁ商売をやっておられる方々はこのような判断があってはならない事は重々承知であるか、いかんせんこのようなことが現実は度々起こっている。

一方値決めは安ければ良いというのも間違いである。要はその製品のパフォーマンスに見合う満足度、競合製品の状況も視野に入れた上で値決めを行わねばならない。

また競合状況によっても値決めは変わる。Ideacoの二重構造のゴミ箱Tubelorを開発した時、そのような形態の製品は世界中どこを見ても存在しなかった。

このような製品の市場における価格主導権は自分たちにあるので消費者感覚で買える最高の価格を見極めれば良い。Tubelorの場合、結果的に従来のゴミ箱の3倍もする価格で販売しても成功することができた。

値決めの重要な視点はお客様に喜んでお買い上げいただける最高の価格とともに一方では自分たちの利益の適正についての視点である。

違う見方をすれば適正な利益を得るコトの出来ない商品は作るべきではないわけで、そこはクールな頭で決断しなくてはいけない。

ただしその利益というものは創意工夫で生み出されるものであって、その仕組みいかんで利益は変化していく。

流通の仕組みによっても利益は当然変化する。その利益を生み出す仕組みづくりチャレンジこそが本来の商品開発である事を忘れてはならない。

2019-05-14 ©Ichiro Haba
シンプルに美しく暮らす