失敗の商品開発

失敗の商品開発 その2

このように失敗の事例、その失敗の本質に迫る事、それをレクチャーさせていただく事は逆にその失敗があるからこそ成功への道を生んでいけると私達は考えているからです。

前回は商品開発の失敗を生む最大の理由は企画、デザイン、開発、品質管理、調達、営業、プロモーションそれら商品化工程におけるあらゆる判断の結果であり、全てはその判断を行う人の問題に尽きるという視点をレクチャーさせていただきました。

判断を行う責任者に自分の立場を気にする虚栄心や自尊心、過去の成功体験の呪縛や保身など利己的な判断が重なればそれは間違いなく失敗という結果をもたらすというレポートさせていただきました。

要は私心なく顧客を優先する正しい客観的な判断が行われるかどうかに全てがかかっているという事です。商品開発のみならず経営もそうであります。

“動機善なりや私心なかりしか”であります。

さてそう考えた場合、具体的に商品開発おいてその判断に迫られる状況にはどのような場面があるのでしょうか?

先ずどんな製品を開発できるか・するべきか・していきたいかという構想企画段階での判断が先ず行われるでしょう。企画室で考えたものが責任者へのプレゼンテーションが行われ開発の正否が問われるというステージですね。

この責任者にとって商品化への正否の判断基準はどこに求めるべきなのでしょうか?その製品が成功するかしないか、その先に道が見えているかどうかという事が判断の要点になると思います。

イデアには商品開発アイデアシートというマニュアルがあります。学校でもマーケティングの勉強に必ず出てくる市場目標ターゲットは?どこの誰に・どんな時に・どんな場所で・どの様な貢献を実現できるものなのかが明らかに見えているかどうか?これが映像となってその製品の成功へのビジョンが見えてこないような企画はその段階ではとりあえず保留と言う事になるでしょう。

マーケティングではよくプロダクトアウトとマーケットインという言葉を耳にされると思います。ここで重要な判断の基準は作り手企業側の自己都合を優先する判断プロダクトアウトで良しと判断されたならそれらの製品はほとんど失敗します。

ここに僕たちの経験でも結構多くの失敗事例があります。商品化を判断するリーダーは企業であれば結構上層部の方で経験も豊富であるだけに過去会社が自分たちに都合良くやってこられた成功体験をもとに会社にとってやりやすい方策を優先した判断が先行してしまう事が多々あります。

また一方提案する企画者側の判断の問題もあります。全くの新基軸の商品ではなく既存製品との競争となるようなケースそれは既存の競合商品に勝てる優位性を確保していかなくてはなりませんが、それが価格なのか、売り方なのか、使い勝手なのか、見た目の違いなのか、社会性なのか、意匠権など知財を武器と出来るのかなど可能性など客観的な視点を持って判断されます。

しかしこの段階で決裁者のミスジャジが行われる事もあります、それは???企画者が提案する情報の精度に問題があれば責任者は判断ミスを犯す事になります。

競合となるであろう製品に関わるデータに正確さを欠いている、あるいは“ではないか”という想像レベルの情報である、特許や知財申請などの調査洩れがあるような状況でゴーの判断が行われ、いざ市場に投入されたのちそれが問題となり大きな損失を生んでしまう事もよくある話です。

そして提案する企画担当者にはこういう事をこれから実現したいのだという自分なりの実感があって、そしてワクワクする楽しみを持ち得ているかどうか、ではなく仕事だからやっている、やらされているという感覚で企画した製品は必ずや失敗します。

続く…

2019-04-26 ©Ichiro Haba
シンプルに美しく暮らす